ホーム   選択名言の説明   孫子の名言一覧   クリックで選択名言の説明 表示   孫子について

 算多きは勝ち、算少なきは、勝たず

 勝算の多いほうが勝ち、少ないほうが敗れる。

『孫子』はさらに 「しかるをいわんや算なきにいてをや」
とダメを押している。勝算がなかったら勝てるはずがない、と。
 いわゆる「孫子の兵法」は、「勝算なきは戦うなかれ」
という考え方が前提のひとつになっている。

  日本人は、勝算五分でも戦いを挑んでしまう傾向が強い。
「それ行け」で突っ走ってしまうは「向こう見ず」と知るべし。

 百戦百勝は善の善なるものに非ず

 百戦百勝したとしても、最善の策とはいえないのだという。
つまり、戦わずして勝つのが理想であって、
その方法としては次の二つが考えられる。
 ①外交交渉によって相手の意図を封じ込める。
 ②謀略活動によって相手を内部から崩壊させる。

 中国は、武力だけでは抑えこめないほどの広さをもっている。
だから、天下を取るようなリーダーは、
まず戦わずして勝つことを考えざるをえなかった。

 彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず

 戦において、敵と味方のことを熟知していれば、
たとえ百回戦ったとしても負ける心配はない。

本当に知るからこそ避けるべき時は速やかに避け、
時宜を見定めて為すべき時に為し、
足らざる所があればそれを補って後に為す、故に百戦して危うからず。

現代の情報化社会では、彼の確かな情報は比較的得やすい。
問題は己が陣営の、希望的観測なき冷静な判断の可否にある。


 善く戦う者は勝ち易さに勝つ者なり

「勝ち易きに勝つ」とは、余裕をもって勝つこと。
無理のない自然な勝ち方といってもよい。

 楽々と余裕をもって勝つには
状況に対する深い洞察と正確な判断が求められる。

 それが欠ければ、
勝つには勝っても、綱渡り的な勝ち方におわる。いわゆる辛勝。

 善く戦う者はこれを勢に求めて人に責めず

 いくさ上手は、まず何よりも勢いに乗ることを重視し、
ひとりひとりの兵士の働きに過度の期待をかけない。

各兵士の能力を考慮した布陣を敷いた戦い方より、
全体が勢いづく戦い方に重きを置き、勢いに乗ることができれば、
実力以上の戦果を得る事ができる。

 つまり、「火事場の馬鹿力」を出させる戦略をとればいい。

 善く戦う者は人を致して人に致されず

 「人を致す」とは主導権を握ることです。

 有利に戦いを進める鍵は、主導権を握ることにある。

 主導権をにぎれば、余裕をもって戦うことができる。
それだけ作戦選択の幅が広くなり、思いきった手を打つこともできる。
つまりは「先手必勝」

 主導権を握るには、状況を正確に読まなければならない。
相手より一歩先に勝機を掴む事が、勝負の重大な分岐点になってくる。

  兵の形は水に象る

 水は巨大なエネルギーを秘めているが、
その形は柔軟そのものといっていい。
『孫子』は、戦い方は水の姿にに学べ、と説いている。

 水には一定の形がないように、戦い方にも不変の態勢はありえない。
敵の態勢に応じて自在に変化してこそ、勝利を握ることができる。

 変貌自在の戦略をとるためには、
まず、原理・原則を頭に叩き込んでおかなければならない。

 其の疾きこと風の如く、其の除かなること林の如く、
  侵掠すること火の如く、動かざること山の如し


 攻めるときは、風のように疾く、
敵地を侵攻するときは、燃える火の勢いをもってする

 攻撃を中断するときは、林のように静かにして次の機会を待ち
いったん守りに入ったら、山のように動かない――
つまり、動いてはならないときの軽率妄動を戒めている。

 智者の慮は必ず利害に雑う

 利と害の両面から物事を考えれば、判断をあやまらない。

 俗に「うまい話には落とし穴がある」という。
そんなことは誰でも知っているのだが、それに引っかかるのは、
自分が徳することばかり考えてしまうことにほかならない。
 いい条件のなかから悪い条件を見つけて気持ちを引き締め、
悪い条件のなかからいい条件を発見して希望を捨てないでいく。

 全勝ではなく、七勝三敗で善しとするのもひとつの生き方。

 軍に将たるの事は、静にして以って幽なり

 軍を率いるときの心構えは「静」であり「幽」であらねばならない。

「幽」とは、計り知れないほど奥が深い、という意味です。

 リーダーは常に冷静沈着であってこそ、
部下の信頼を勝ち得ることができる。
味方がピンチに陥ったときに動揺を顔に表すようでは、
リーダーの資格として十分ではない。

 囲師には必ず闕き、窮寇には迫ることなかれ

 敵を包囲したら、必ず逃げ道を開けてやり、
窮地に追い込んだ敵には攻撃を仕かけてはならない。

相手を完全包囲して死地に追い込めば「窮鼠、猫をかむ」の事態になり、
死に物狂いに反撃してくる恐れがある。
捨て身になった人間ほど怖いものはない。

 人使いの巧みな上司は、とことん叱ったあとで、
素知らぬ顔をして相手に救いの道を用意しておく。

 始めは処女の如く、後には脱兎の如し

 始めは処女のように振舞って、
わざと敵のねらいにはまったふりをして油断を誘い、
そこをすかさず脱兎のような勢いで攻め立てれば、
敵は防ぎようがない――

 油断を誘っている間に、情報活動を展開し、
着々と攻撃態勢を整えておく。
機をとらえて兵力を集中すれば、脱兎の勢いで攻め込むことができる。

 これを死地に陥れて然る後に生く

 兵士を死地に投入してこそ、活路が開ける。

 絶対絶命のピンチに遭遇すれば、リーダーが指示するまでもなく
兵士ひとりひとりが全力をあげて、ピンチを脱しようと努力するだろう。
そこに活路を見いだすことができる。

 この言葉は現代の組織管理にも当てはまる。会社の経営が悪化すれば、
上層部だけが危機感をもっても立ち直ることは難しい。
やはり、末端の社員ひとりひとりにまで危機感を浸透させ、
全員の頑張りを引き出す必要があります。

 佚を以って労を待ち、飽を以って饑を待つ

 わが方は十分に食べてたっぷり休養をとり、
飢饉のために疲れている敵を迎え撃つ。
 「佚」とは、のんびり休養をとっている状態、
 「労」とは、疲れている状態。

 では、敵方もわが方と同じ状態であればどうするか。
そこで、まず敵の糧道を断って飢えさせ、
策を講じて奔命に疲れるのを待ち、そのうえで決戦を挑むのです。
敵にハンディを負わせ、実力をわが方より低下させれば優位に戦える。

 愛みて敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり

 戦いを始めるにあたって、
金を惜しんで敵方の情報収集を怠る指導者は、
「不仁の至り(大きな思いやりに欠けている)」である。

 この情報収集に要する費用は、
戦争そのものにかかる費用とくらべると、ごく僅かな額にすぎない。
その僅かな費用を出し惜しんで、戦いを始めてはならない。
 
算多さんおおきはち、算少さんすくなきは、たず
百戦百勝ひゃくせんひゃくしょうぜんぜんなるものにあら
かれおのれれば、百戦ひゃくせんしてあやうからず
たたかものやすさにものなり
たたかものはこれをせいもとめてひともとめず
たたかものひといたしてひといたされず
兵の形は水にかたど
はやきことかぜごとく、しずかなること はやしごとく、
侵掠しんりゃくすることごとく、うご かざることやまごと
智者ちしゃりょかなら利害りがいまじ
ぐんしょうたるのことは、せいにしてってゆうなり
囲師いしにはかならき、窮寇きゅうこうにはせまることなかれ
はじめは処女しょじょごとく、のちには脱兎だっとごと
これを死地しちおとしいれてしかのち
いつってろうち、ほうって
おしみててきじょうらざるものは、不仁ふじんいたりなり
 ※守屋 洋著 中国古典「一日一話」より引用

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